自治体によってルールが異なる「移動支援制度」。ヘルパーの立場から分かりやすく紹介します!
そもそも「移動支援」ってどんなサービス?
動物園、特定のコンサート、映画、カラオケ等の生活に必要な余暇活動、また選挙の投票や金融機関への手続きといった社会生活を送るうえで欠かすことのできない外出をサポートするサービスです。市区町村のサービスなので制度の内容が各市区町村で変わってくるところが、利用する側からするとわかりにくかもしれません。例えば、通勤といった経済活動にかかわる外出、政治活動や宗教活動にかかわる外出、宿泊を伴う外出などは市区町村によって利用できないところもあるので、確認が必要になってきます。このサービスを有効に利用してもらうため、実際に「移動支援」を行っている側からわかりやすく説明していきたいと思います!
「移動支援」を利用できる対象者は?
厚生労働省的には「障がい者等であって市町村が外出時に移動の支援が必要と認めた者」。すなわち療育手帳を持っている人ということです。
「移動支援」の対象者のルールについて、市区町村によってこんなに違うというのを理解して貰いたく、利用者数TOP3の自治体で比較してみました。 ①大阪府:18,565名、②東京都:12,842名、③神奈川県:8917名(厚生労働省、H26/3)
①大阪府(大阪市) ※一部抜粋
(1)社会生活上必要不可欠な外出及び余暇活動等社会参加のための外出支援
大阪市内在住の在宅の障がいのある方で、外出の支援を必要と認められる次に示す者。
(2)大学修学支援
大阪市内在住の在宅の重度の障がいのある方で、大学等の修学における外出の支援を必要とする次に示す者。
②東京都(品川区) ※一部抜粋
身体障害者手帳、愛の手帳、精神保健福祉手帳の所持者、難病にり患している方で、外出時に支援を要する状態にあると認められた方
※重度訪問介護、重度脳性麻痺者介護、行動援護、重度障害者包括支援を受けている方は除きます。
③神奈川県(横浜市) ※一部抜粋
(1)身体障害者手帳1・2級で3肢以上の機能障害のある肢体不自由児・者(外出時主に車いすを使用する方)
(2)知的・精神障害児・者
(3)障害者総合支援法の対象となる難病等の患者のうち上記1に準ずるもの(児童含む)
「移動支援」を利用すると、どんないいことがあるか?
- 親御さんとしてはレスパイトで活用 。頼れるところがあるだけでも安心できます。
- 親御さんが年を取り体力が衰えてきても、サービスを利用することでいろんなところへ連れて行ってくれるます。
- 様々なヘルパーさんに依頼することで「関係」を増やすことができます。利用者さんを知ってる人が一人でも多くいたほうが、長い目で見て何かあった時に安心です。
「移動支援」の利用方法
利用者数TOP3の自治体で、移動支援の利用方法を紹介します。
①大阪府(大阪市)
自治体のサイトに添付されてある申請書を記載し自治体に提出しに行く。申請にはマイナンバーが必要です。
②東京都(品川区)
1) 相談:区または相談支援事業者にまず相談します。
2) 申請:区に申請します。
3) 障害支援区分の認定
4) 支給決定
5) 利用契約・サービス利用開始
③神奈川県(横浜市)
1) 申請:区に申請します。
2) 支給決定:「障害福祉サービス受給者証」がもらえます。
3) 利用者と事業者で調整
4) サービス利用開始
まとめ
利用者の障害区分や生活環境が多種多様なので利用対象者や認定の仕組みは複雑になっています。またそれを自治体が個別に管轄しているのでより理解しにくい状態なんだと思います。自治体からインターネットで公開されている情報では知りたいことのすべてを知ることができないので、住んでいる町の自治体に足を運ぶしかありません。移動支援を利用していない方に直接聞いたわけではありませんが「複雑さ」が少なからず障壁になっているのかもしれませんね。